店舗の水漏れトラブルは誰の責任?弁護士に相談すべきケース
飲食店を営んでいると、天井からの水漏れで店内が使えなくなったり、反対に厨房の水が階下へ漏れてしまったりするトラブルが起こり得ます。
水漏れは原因の特定が難しく、誰にどこまで責任を問えるのかをめぐって争いになりやすい問題です。
本記事では、店舗の水漏れトラブルの責任の考え方と、弁護士に相談すべきケースについて説明します。
水漏れトラブルの責任は原因によって決まる
はじめに、水漏れが起きたときの責任の考え方を確認します。
まずは原因箇所の特定と証拠の確保を行う
水漏れに気付いたら、被害の拡大を防ぐ応急措置とあわせて、状況の記録を始めることが重要です。
どこからいつ水が漏れ、店内のどこにどのような被害が生じたのかを、写真や動画で残しておきましょう。
修理業者が原因箇所を特定する作業には、できる限り立ち会い、その内容も記録しておくことが望まれます。
被害を受けた日時や経過、相手方とのやり取りの内容も、時系列でメモに残しておくと役立ちます。
損害賠償を請求する場合、漏水の原因が相手側にあることは請求する側が立証しなければならないため、初期の記録が交渉や裁判の成否を左右するといっても過言ではありません。
責任を負う相手は状況によって異なる
賠償や修繕を求める相手は、漏水の原因がどこにあるかによって変わります。
建物に備え付けの配管の劣化が原因であれば、民法606条の修繕義務を負う貸主に対応を求めるのが基本です。
上階の店舗や住人の不注意が原因の場合には、その占有者へ損害賠償を請求できます。
また、民法717条により、建物の設備の欠陥による損害は占有者(占有者に過失がない場合は所有者)が責任を負うとされており、共用部分が原因のときは管理組合や建物所有者が相手方になるのが通常です。
賃貸借契約書に修繕の分担に関する特約が置かれている場合もあるため、契約内容の確認も欠かせません。
原因が特定できないまま交渉を始めると相手を誤るおそれがあるため、調査結果を踏まえて請求先を見極めましょう。
被害と加害それぞれの立場での対応
次に、被害を受けた場合と漏水させてしまった場合に分けて対応を整理します。
被害を受けた場合に請求できる損害
店側が被害者となったときは、漏水と相当因果関係のある損害の賠償を請求できます。
主な項目は次のとおりです。
- 内装や設備の修理にかかる費用
- 使えなくなった什器や食材の損害
- 休業を余儀なくされた期間の休業損害(営業損害)
什器の損害は新品の購入価格ではなく事故時点の時価が基準となる点と、休業損害は減少した利益と休業中も発生する固定費の範囲に限られる点には注意しなければなりません。
休業損害の立証に向けて、過去の売上台帳や確定申告書類を整理し、漏水前後の売上を比較できる状態にしておくことも有効です。
また、貸主側の工事で店舗の一部が使えない場合には、使用できない割合に応じて賃料の減額を求められることもあります。
自店が漏水させた場合の対応
厨房の排水管の詰まりや水の止め忘れが原因で階下へ被害を与えたときは、店側が賠償責任を負う立場になります。
まずは水の使用を止める応急措置を行い、被害を受けた相手へ誠実に謝罪したうえで、管理会社と保険会社へ速やかに連絡しましょう。
初動で対応を誤って被害を広げてしまうと、その拡大部分についても責任を問われかねません。
施設賠償責任保険や借家人賠償責任補償に加入していれば、賠償額の全部または一部を保険でまかなえる場合があります。
一方、請求された金額に根拠が乏しいときまで、そのまま支払う必要はありません。
弁護士に相談すべきケース
水漏れトラブルのなかでも、次のような場合には弁護士への相談を検討しましょう。
責任の所在や原因に争いがあるケース
漏水の原因が給水管なのか排水管なのか、専有部分なのか共用部分なのかがはっきりせず、当事者間で責任の押し付け合いになることは珍しくありません。
貸主や管理会社が調査に協力しない場合や、複数の原因が重なっている場合には、店側だけで責任関係を整理するのは困難です。
時間の経過とともに漏水の痕跡は失われ、原因の特定はますます難しくなっていきます。
弁護士に相談すれば、調査資料の集め方から請求の相手方の選定、内容証明による請求まで、法的な観点から進め方を組み立てられます。
休業損害の算定や賠償額に納得できないケース
飲食店の水漏れ被害では、休業損害の金額をめぐって争いになりやすい傾向があります。
売上や利益の資料をもとに損害額を立証する必要があり、相手方や保険会社から提示された金額が実際の損失に見合わないことも少なくありません。
反対に、漏水させた側として過大な休業補償を請求される場合もあり、いずれの立場でも金額の妥当性の見極めが重要になります。
顧問弁護士がいれば、トラブルの初期段階から証拠収集の助言を受けられる利点もあります。
交渉が難航して休業が長引けば損失は膨らむ一方となるため、早い段階で弁護士へ相談し、解決の道筋を立てておくと安心でしょう。
まとめ
店舗の水漏れトラブルでは、原因箇所の特定と証拠の確保を急ぎ、責任を負う相手を見極めたうえで賠償や修繕の交渉を進めることが大切です。
MSみなと総合法律事務所では、店舗の水漏れをはじめとする不動産関連のご相談を承っております。
水漏れトラブルの対応でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。