立ち退き交渉は弁護士に依頼すべき?その理由と進め方

立ち退き交渉は弁護士に依頼すべき?その理由と進め方

建物の老朽化や建替えの計画に伴い、オーナーが入居者へ立ち退きを求める場面があります。
しかし、立ち退き交渉は借地借家法の制約を受けるうえ、感情的な対立にも発展しやすく、オーナーが独力で進めるのは容易ではありません。
本記事では、立ち退き交渉を弁護士に依頼するメリットと進め方について説明します。

立ち退き交渉が難しい理由

はじめに、立ち退き交渉に法律上の壁がある理由を確認しましょう。

退去を求めるには正当事由が必要になる

借地借家法28条により、オーナー側から契約の更新拒絶や解約の申入れをするには、正当事由が必要とされています。
正当事由の有無は、オーナーが建物を使用する必要性を中心に、賃貸借の経過や建物の現況、立退料の提供の申出も含めて総合的に判断される仕組みです。
建物が古くなったという事情だけでは足りず、立退料の支払いによって正当事由を補完するのが実務における一般的な傾向となっています。
また、更新拒絶の通知は期間満了の1年前から6か月前までに行う必要があり、時期を逃すと契約が更新されてしまう点にも注意が必要です。
なお、定期建物賃貸借契約の場合には期間満了で確定的に契約が終了するため、そもそも正当事由は問題となりません。

弁護士以外に交渉を任せることはできない

オーナー自身が入居者と直接話し合うことに問題はありません。
一方、不動産会社や管理会社に報酬を支払って立ち退き交渉を代行させることは、弁護士法72条が禁止する非弁行為に該当するおそれがあります。
交渉の代理を第三者へ依頼できるのは、原則として弁護士に限られるのが法律上のルールです。
実際に、報酬を得て立ち退き交渉を請け負った業者が摘発された事例もあります。

立ち退き交渉を弁護士に依頼するメリット

弁護士へ依頼することには、主に次の3つの利点があります。

法的な見通しを立てて交渉を組み立てられる

弁護士は、判例の傾向を踏まえて正当事由がどの程度認められそうかを分析し、交渉全体の方針を設計します。
老朽化を理由とする場合には、建物の危険性を裏付ける調査資料をそろえ、主張に説得力を持たせることが可能です。
見通しのないまま交渉を始めて条件が二転三転すると、入居者の不信感を招いて話し合いが長期化しやすくなります。
賃料の増額請求や定期借家への切り替えなど、別の選択肢との比較検討ができる点も強みです。
初期段階から法的な軸を定めておくことが、結果として早期の解決につながるでしょう。

立退料の水準を見極めて過大な負担を避けられる

立退料には法律上の算定基準がなく、金額をめぐって交渉が難航する例が後を絶ちません。
一般に、立退料を決める際に考慮される主な要素は次のとおりです。

 

  • 引越し費用や移転先の契約にかかる費用
  • 移転前後の賃料の差額
  • 店舗や事務所の場合の営業上の損失

 

弁護士に依頼すれば、類似事案の裁判例と照らして妥当な水準を見極められるため、過大な請求にそのまま応じる事態を避けられます。
反対に、低すぎる提示で交渉を決裂させてしまう失敗も防ぎやすくなるでしょう。

交渉の窓口を任せて負担と対立を減らせる

立ち退きの話し合いは入居者の生活や営業に直結するため、当事者同士では感情的な衝突に発展しがちです。
弁護士が窓口となれば、オーナーは入居者と直接やり取りする負担から解放され、冷静な条件調整が進めやすくなります。
交渉の経過や提示条件が書面で記録されるため、言った言わないの争いを防げる点も利点のひとつです。
オーナーが本業を抱えている場合には、交渉に割く時間を大幅に減らせる効果も見逃せません。

交渉が決裂した場合にも、調停や訴訟へ切れ目なく移行できます。

弁護士に依頼した場合の進め方

実際の依頼から解決までは、おおむね次の流れで進みます。

方針の決定から条件交渉まで

最初に、立ち退きを求める理由や物件の状況、希望する時期を弁護士へ伝え、交渉方針と立退料の目安を決めます。
方針が固まったら、弁護士が代理人となったことを入居者へ通知し、立ち退きをお願いする理由と条件を書面で提示するのが一般的です。
その後は、退去の時期や立退料の金額について、入居者の意向を聞き取りながら条件をすり合わせていきます。
入居者側にも移転先探しの時間が必要となるため、余裕のあるスケジュールで臨むことが円滑な交渉の鍵となるでしょう。

合意書の締結から明渡しまで

条件がまとまったら、合意内容を明確にした立ち退きの合意書を取り交わします。
合意書には、次のような事項を定めておくことが重要です。

 

  • 明渡しの期限と立退料の金額
  • 立退料の支払時期と支払方法
  • 原状回復義務の範囲や残置物の扱い

 

合意書の内容が曖昧だと、退去後に支払いや原状回復をめぐる紛争が再燃するおそれがあります。
立退料の支払時期については、明渡しの完了と引き換えにする形が安全とされています。
話し合いで解決に至らない場合には、正当事由の存在を主張して、建物明渡請求訴訟による解決を検討しなければなりません。

まとめ

立ち退き交渉を弁護士に依頼すれば、正当事由の見極めから立退料の設定、合意書の作成まで、一貫した法的サポートを受けながら進められる点が大きな利点です。
MSみなと総合法律事務所では、立ち退き交渉をはじめとする不動産関連のご相談を承っております。
入居者との立ち退き交渉でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

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