食中毒や異物混入のクレームを受けた飲食店が取るべき対応

食中毒や異物混入のクレームを受けた飲食店が取るべき対応

飲食店を経営していると、料理を食べて体調を崩したという申し出や、異物が入っていたというクレームを受けることがあります。
初動を誤ると、賠償問題や行政処分に加え、SNSでの拡散により店の信用を大きく損なうおそれも否定できません。
本記事では、飲食店での食中毒や異物混入による顧客トラブルの対処法について説明します。

クレームを受けたときの初動対応

食中毒でも異物混入でも、最初の対応がその後の展開を大きく左右します。

まずは体調と事実関係を確認する

最優先すべきなのは、申し出をした顧客の体調です。
健康被害がうかがわれる場合には、医療機関の受診を促し、症状の内容を確認します。
あわせて、後の原因調査に備え、次のような事項を聞き取っておきましょう。

 

  • 症状の内容と発症した時期
  • 来店した日時と注文した料理
  • 直近数日間の食事の内容

 

異物混入の申し出であれば、異物の現物と残った料理を廃棄せずに保全し、混入の経路を調査することが重要です。
店内の防犯カメラの映像や調理担当者への聞き取りも、事実関係を確かめる手がかりになります。
顧客が異物を持ち帰っている場合には、原因調査のために提出への協力を丁寧にお願いしなければなりません。

謝罪は範囲を限定して行う

クレームを受けた直後は、相手の話を遮らずに聞き、不快な思いをさせたことについて丁寧にお詫びする姿勢が求められます。
一方で、原因や因果関係がはっきりしない段階で、店側の全面的な責任を認める発言をすることは避けなければなりません。
食中毒の症状は直前の食事以外が原因である可能性もあり、異物についても店内で混入したとは限らないためです。
不快な思いをさせたことへのお詫びにとどめる言い回しであれば、法的な責任を認めたことにはつながりにくいとされています。
事実確認の前に全面的に責任を認めてしまうと、後から撤回することが難しくなり、交渉のうえで不利な立場に置かれるおそれがあります。

食中毒が疑われる場合の対応

体調不良の訴えが食中毒に発展し得る場合には、次の対応が必要になります。

受診を促し診断書の取得を依頼する

食中毒が疑われるときは、顧客に医療機関の受診を促し、可能であれば診断書の取得も依頼します。
診断書や検査結果は、症状と店の料理との因果関係を判断するための重要な資料になるためです。
実務では、誠意を示す趣旨で初回の治療費を店側が負担する対応も見られますが、その場合も因果関係を認めたことにならないよう伝え方に注意する必要があります。
あわせて顧客の連絡先を確認し、その後の体調の経過を気遣う連絡を続けることも、不信感の芽を摘むうえで効果的です。
体調への気遣いを続けながら、事実関係の確認を並行して進めることが円満な解決につながるでしょう。

保健所の調査には誠実に協力する

食中毒の疑いがあると、患者を診察した医師から保健所へ届出が行われ、店舗への立入調査が実施されることがあります。
調査の結果、店の料理が原因と判断された場合には、食品衛生法に基づき営業停止その他の行政処分を受ける可能性も否定できません。
また、同じ日に同じ料理を提供したほかの顧客へ被害が広がっていないか、予約記録から確認することも求められます。
処分をおそれて事実を隠したり虚偽の説明をしたりすると、かえって処分や信用低下のリスクを高めてしまいます。
食材の仕入れ記録や調理工程の説明に誠実に協力し、原因の究明と再発防止に努める姿勢が大切です。

損害賠償と悪質な要求への対応

顧客対応と並行して、賠償の要否と範囲を法的に整理しておくことも欠かせません。

賠償責任の範囲を確認する

店の料理が原因で健康被害が生じた場合、店側は債務不履行または不法行為に基づく損害賠償責任を負います。
賠償の対象となる主な項目は次のとおりです。

 

  • 治療費や通院にかかった交通費
  • 仕事を休んだ場合の休業損害
  • 精神的苦痛に対する慰謝料

 

一方、髪の毛の混入のように健康被害が生じていないケースでは、料理の交換や代金の返金にとどまり、慰謝料までは認められにくい傾向にあります。
被害の程度や治療期間によって適正な金額は変わるため、相場の判断が難しいときは弁護士に確認する方法もあります。
賠償額が大きくなる事案に備え、生産物賠償責任保険への加入状況も確認しておくと安心でしょう。

過剰な金銭要求には毅然と対応する

金銭の請求を伴うクレームについては、相手の言い分をそのまま前提にせず、事実関係と法的な支払い義務の有無を確認してから対応を決めます。
因果関係が不明なまま高額な慰謝料を求められても、直ちに応じる義務はありません。
執拗に面会や支払いを強要したり、SNSで拡散すると告げて金銭を求めたりする行為は、恐喝に該当する可能性もあります。
事実と異なる内容をSNSに投稿されて店の評判が害された場合には、投稿の削除請求や発信者の特定を検討する余地もあります。
悪質な要求への対応を現場任せにせず、早い段階で弁護士へ相談し、必要に応じて警察とも連携する体制を整えておきましょう。

まとめ

食中毒や異物混入のクレームでは、顧客の体調確認と限定的な謝罪から始め、事実関係の調査と法的な整理を踏まえて対応することが重要です。
MSみなと総合法律事務所では、飲食店の顧客トラブルに関するご相談を承っております。
食中毒や異物混入への対応でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

法律問題のご相談はお任せください。
初めての方も安心して
ご相談いただけます。

【お電話でお問い合わせはこちら】 03-6206-6870 営業時間:平日 9:00 ~ 17:00(土日祝休) お問い合わせ